出産後、急に抜け毛が増えて髪が薄くなってきたと悩んでいるママさんは多いのではないでしょうか?
髪がたくさん抜け落ちると病気ではないのかと不安になるかと思います。
しかし、産後の抜け毛は病気ではなく、出産を経験した女性、誰にでもおこる現象なのです。
今回は、産後に髪が抜け落ちてしまう原因について詳しくご説明すると共に、抜け毛がおこる期間や対策方法などをご紹介します。
産後におこる抜け毛の原因
髪にはヘアサイクルと呼ばれる周期があり、成長期(髪が成長する期間)⇒退行期(成長が止まる)⇒休止期(髪が抜け落ちる)⇒前期成長期(古い髪が抜けて毛根から新しい髪が生えてくる)を繰り返しています。
ヘアサイクルによって古い髪が新しい髪に押し出されることで、健康な人でも一日に100本前後は自然に抜け落ちてしまうのです。
しかし、産後はこれ以上に抜け落ちるため、髪が透けて頭皮が見えてしまう場合があります。
産後におこる抜け毛のことを「産後脱毛」や「分娩後脱毛症」と言います。
この章では、産後の抜け毛の原因を詳しくご説明します。
女性ホルモンの影響
産後の抜け毛の原因で代表的なのが、女性ホルモンの影響です。
そもそも女性ホルモン(エストロゲン)とは、髪の成長を促したり頭皮や髪に潤いを与えたりする働きをします。
妊娠中は女性ホルモンの分泌が活発になってしまい、ホルモンバランスが崩れてしまいます。
ホルモンバランスが崩れるとヘアサイクルが乱れて、成長期の期間を延ばします。
成長期が延びることで髪が留まり、抜け毛の量が一時的に減少します。
出産が終わると徐々に女性ホルモンの分泌量が戻っていき、それと同時にヘアサイクルも元に戻ります。
元に戻ると、成長期が延びたことで抜け落ちずに留まっていた髪が一気に抜け落ちてしまいます。
これが出産後におこる抜け毛の仕組みです。
女性ホルモン以外の原因もある
産後の抜け毛は女性ホルモンの影響以外にも原因があります。
産後ならではのことが原因となってしまう場合があるのです。
ストレス
ストレスは精神を不安定にするだけではなく、抜け毛をおこす可能性もあります。
出産後は慣れない育児に追われたり家事との両立をしなければいけなかったりと、なかなか自分の時間を作れないためストレスが溜まりやすい状態です。
身体はストレスを感じると自律神経(自分でコントロールをすることが出来ない神経)が乱れたり、体内の亜鉛を大量に消費したりします。
自律神経が乱れると血管が圧迫されてしまい血流を悪くします。
髪の成長に必要な栄養素は血液を通って頭皮まで運ばれるのですが、血流が悪いと頭皮まで届けにくくなり、髪が栄養不足になってしまいます。栄養不足だと髪が細くて弱々しくなるため抜け落ちやすくなってしまうのです。
また、亜鉛は身体を維持するために必要な栄養素で、髪の主成分であるケラチンタンパク質の合成に関係しています。
そのため亜鉛が不足してしまうと、ケラチンタンパク質を作ることが出来ず髪が弱々しくなってしまいます。
栄養不足
栄養不足は身体だけではなく髪にも影響を及ぼします。
産後のママさんは
- 育児や家事に追われて自分の食事が疎かになっている
- 妊娠前の体重に戻そうと食事制限などの過度なダイエットをしている
- 母乳に栄養を取られている
などのことから栄養が不足しがちです。
栄養不足になると自律神経とホルモンのバランスが乱れてしまいます。
栄養の運び方は上述でお話ししましたが、実は栄養は生命の維持に重要な器官から優先的に届けられていきます。
しかし、髪は生命の維持にはあまり関係がないため、優先順位が低くなっています。
元々頭皮に届けられる栄養が少ないのに、栄養不足になると更に少なくなってしまうのです。髪自体も栄養を失い細くなってしまいます。
頭皮や髪への負担
頭皮や髪に負担がかかってしまうと髪が抜け落ちやすくなります。
産後の頭皮は非常に敏感になっているので、負担がかかりやすい状態なのです。
負担がかかるとヘアサイクルが乱れてしまい、本来ならまだ抜け落ちない成長中の髪が抜け落ちてしまう恐れがあります。
髪に負担をかけてしまうのは以下のような行為です。
- パーマやカラーリングを頻繁に行う
- 髪をしっかりと乾かなさいで放置する
- 洗浄力が強いシャンプーで洗う
- 爪を立ててガリガリと掻くように洗う
- 洗浄不足(洗い足りていない・すすぎ残しなど)
産後の抜け毛はいつからいつまで?
産後の抜け毛はいつから始まりどれくらいの期間続くのか気になりますよね。
原因が女性ホルモンの場合は、ホルモンバランスが整う器官には個人差があるので、いつからいつまでと期間を断定することは出来ません。
しかし、目安としては産後2~3ヶ月で抜け始め、6ヶ月~1年程で抜け毛が治まると言われています。
これによって、ピーク(髪がごっそりと抜ける期間)は大体3~6ヶ月くらいです。
実は抜け毛は産後2、3日後から始まっていますが、髪が薄くなったと実感しはじめるのは2~3ヶ月くらいです。
産後の抜け毛を抑えるための4つの対策方法
女性ホルモンが原因の場合は、抜け毛止めることは難しいです。
ホルモンのバランスは時間が経過すると自然と元に戻っていくので、抜け毛の量も徐々に改善されていきます。
そのため、抜け毛が多い期間はこれ以上無駄な抜け毛を増やさないということが重要になります。
この章では、無駄な抜け毛を増やさないための4つの対策方法をご紹介します。
ストレスを溜め込まない
ストレスを溜めこまないためにも、発散をしましょう。
完全に発散しなくても、和らげるだけで気持ちが楽になるかと思います。
育児が大変な時は家族やベビーシッターに協力してもらい、家事や育児を頼んで自分の時間を作ることも一つの案です。
しかし、頻繁には頼みにくい、途中で子供が心配になって落ち着かなかったりするかもしれません。
そのため、家で出来るストレス解消方法をご紹介致します。子供が寝ている時や家事を済ませて空いた少しの時間を活用してみてください。
- アロマ
- ストレッチ・ヨガ
- ハーブティー
- 誰かと話したり相談をする
解消方法はこの他にも沢山あるので、自分に合った方法を見つけましょう。
栄養バランスを考えた食事
栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。
しっかりと栄養を摂取することで、髪に栄養を与えることができます。
頭皮や髪の健康を保つために特に重要な栄養素は以下のものです。
- タンパク質…肉類、魚、卵、大豆製品
- ビタミン・ミネラル…緑黄色野菜、豆腐、海藻
- 亜鉛…牡蠣、レバー、たらばがに、チーズ
頭皮や髪に負担をかけないようにする
頭皮や髪に負担をかけないようにしましょう。
使用するシャンプーの種類や洗い方によって頭皮や髪の状態は大きく変わるため、髪に優しいものを使い正しい方法で洗うようにしてください。
頭皮や髪を優しく洗えると言われているのはアミノ酸シャンプーになります。
アミノ酸シャンプーは低刺激なので頭皮や髪を傷つけずに優しく洗うことが出来ます。また、洗浄力と脱脂力が適度なので、頭皮に潤い(皮脂)を残すことができ頭皮環境を整える効果があります。
洗う時は指の腹で頭皮を揉み込むようにしましょう。
頭皮を揉み込むことで、頭皮が解されて血行をよくすることが出来ます。
この他にも、カラーやパーマなどを頻繁にしているという方は、頻度を減らすことで負担も減らすことが出来ます。
質の良い睡眠をとる
質の良い睡眠を十分にとると、成長ホルモンがたくさん分泌されます。
髪の主成分のケラチンタンパク質を作るために必要な成長ホルモンの分泌が活発になるのは睡眠中です。
最も分泌量が多い時間帯は22時~深夜2時の間になります。そのため、この時間に熟睡していることが望ましいです。
しっかりと熟睡するための方法が下記になります。
- リラックスできる状態を作る
- 寝る直前はスマホやテレビ、パソコンなどの明るい画面を見ない
- 寝る直前は何も食べないようにする
育毛剤やサプリメントは効果があるの?
女性ホルモンによる影響が原因という場合、育毛剤やサプリメント、病院での受診は効果があるのでしょうか?
それぞれの効果についてご説明していきます。
育毛剤
女性ホルモンの分泌量は育毛剤では変えることが出来ません。
そもそも育毛剤とは、髪を丈夫にしたり頭皮環境を整えたりする働きをします。頭皮環境が整っていると、抜け毛を抑えることが出来ます。
育毛剤は抜け毛を増やさないための予防として使うことをオススメします。
しかし、育毛剤の中には頭皮に負担をかけてしまうような商品もあるので、選ぶ時は以下のことを確認しましょう。
配合されている成分は育毛剤のボトルに配合量の多い順に記載されています。
ノンアルコール
ほとんどの育毛剤にエタノールと呼ばれるアルコール成分が配合されています。
アルコールには油を溶かす働きがあり、毛穴に詰まった皮脂や角栓を溶かすことができます。
しかし、揮発性(液体の蒸発のしやすさ)が高いため、頭皮に必要な皮脂と水分を一緒に吸い上げてしまうので、炎症や乾燥を招きやすいです。
アルコールは多少なら入っていても問題がないため、配合量が少ないものかノンアルコールのものを選ぶようにしましょう。
添加物不使用
育毛剤を長持ちさせるために防腐剤や保存料などの添加物がたくさん配合されています。
添加物は頭皮に刺激となる恐れがあるので、なるべく添加物を配合していない育毛剤を選びましょう。
保湿成分をたっぷりと配合している
頭皮も顔や体と同様に、健康を保つためには保湿が重要になります。
頭皮を保湿することで、乾燥を防いだり血流を改善したりする効果があります。
保湿成分がたくさん配合されているものを選ぶようにしましょう。
代表的な保湿成分は下記になります。
- ヒアルロン酸
- アロエエキス
- イチョウ葉エキス
サプリメント
サプリメントは女性ホルモンが原因の抜け毛には直接的な効果がありません。
しかし、サプリメントでは栄養を補うことができるので、栄養不足の場合は効果に期待ができます。
髪の成長に必要な栄養素は3章でご説明しているので、そちらをご確認ください。
病院での受診
女性ホルモンの影響が原因だと、病院での治療は難しいです。
薄毛治療を専門で行っている病院ではなく、産婦人科での受診をオススメします。産婦人科には産後の知識がたくさんあるため、症状に適した治療を施してくれるでしょう。
まとめ
産後におこる抜け毛の原因はわかりましたでしょうか?
産後におこる抜け毛のことを産後脱毛や分娩後脱毛症と言います。
この抜け毛の原因で代表的なのが、女性ホルモンの影響です。
女性ホルモンは髪の成長を促す働きをします。妊娠をすると分泌量が多くなり一時的に抜け毛を減少させます。
しかし、出産後は分泌量が少しずつ正常に戻るため、今まで抜け落ちなかった髪が一気に抜け落ちてしまうのです。
これが産後におこる抜け毛の仕組みです。
この他にも、ストレスや栄養不足などが原因となり抜け毛をおこしている場合があります。
それぞれの原因に合わせて対策をすることで、抜け毛の量を減らすことが出来ます。
産後の抜け毛は出産を経験したママさん、誰にでもおこることなので、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。