頭皮からフケが出ていると不潔な印象を持ってしまいますよね。
実はフケの正体は肌が生まれ変わる際に剥がれ落ちる古い皮膚です。そのためフケは誰からでも出るものなのです。
しかし、量が多くて大きいフケは誰にでも出るものではなく、何かしらが原因となり頭皮環境が荒れている人におこります。
この時に出るフケは2種類あり、フケや頭皮が乾燥している場合は乾性フケ、ベタベタとして脂っぽい場合は脂性フケとなります。
今回はフケが発生する仕組みをご説明すると共に、頭皮環境が荒れることによって発生する2種類のフケの特徴と原因、対処方法を詳しくご説明します。
フケの正体は古くなって剥がれ落ちた皮膚
フケの正体は古くなって剥がれ落ちた皮膚(角質細胞)です。
私たちの皮膚は1ヶ月前後の周期で生まれ変わっています。
上の図のように新しくできた細胞が内側から外側に向かって徐々に移動することで、古い細胞が押し出されていき剥がれ落ちます。この時に剥がれ落ちたものがフケと呼ばれます。
この現象をターンオーバー(新陳代謝)と言います。全ての人に起こる現象なので、フケは誰にでも出るものなのです。
正常なターンオーバーによって出たフケは小さくて目立たず、洗髪時に流されてしまうのでほとんどの人はフケが出ていることに気が付かないのです。
しかし、何かしらが原因となってターンオーバーを乱してしまうと、フケの大きさや量が目で見て分かるくらいに変化します。
この時に出るフケは乾性フケの脂性フケの2種類に分けられます。それぞれの特徴や発生する原因、対処方法などを次の章から詳しくご説明していきます。
細かくて乾燥している乾性フケ
細かくて乾燥しているフケのことを乾性フケと言い、頭皮の乾燥が原因となって発生します。
頭皮やフケが乾燥しているので、頭を触ると簡単に落ちてしまいます。肩や首回りに積もりやすいため黒い服を着ているとフケが目立ってしまいます。
この章では、頭皮が乾燥する原因と乾燥を防ぐための対処方法をご紹介していきます。
空気の乾燥
湿気が少なく空気が乾燥していると、頭皮も乾燥します。
特に冬は他の季節に比べて湿度が低いため空気が乾燥しやすいのです。
また、乾燥しているのは外気だけではなく、エアコンやストーブなどの暖房器具を使うことで室内も乾燥してしまいます。
対処方法
頭皮が乾燥したらそのままにせず、保湿をして頭皮に潤いを与えましょう。
頭皮を保湿するには保湿成分が配合されている育毛剤やホホバオイルや椿油などのオイル類がオススメです。
また、室内の乾燥を防ぐために加湿器を使って湿度を上げましょう。加湿器がない場合はボウルや洗面器に水を入れて部屋に置いたり、水で濡らしたタオルをよく絞って掛けたりするだけでも湿度を上げることができます。
シャンプーの洗浄力
シャンプーの洗浄力(汚れを落とす力)が強すぎると頭皮の潤いを保つために必要な皮脂まで洗い落としてしまいます。
洗浄力が強いシャンプーのことを高級アルコール系シャンプーと呼び、ドラッグストアやスーパーなどで1,000円以下で販売されています。強い洗浄力を持っているので汚れと一緒に皮脂を根こそぎ落としてしまうことが特徴です。
そもそも皮脂は、頭皮に潤いを与えて乾燥や外敵から守るバリアのような役割をしているため、皮脂が失われてしまうと頭皮が乾燥してしまうのです。そのため常に頭皮には適量の皮脂がなくてはいけません。
また一日に何度も洗髪をしたり高温のお湯で洗ったりすることでも皮脂を奪い過ぎてしまいます。
対処方法
皮脂を必要以上に落とさないためにも、洗浄力の強いシャンプーを使っている人はシャンプーを替えましょう。
乾性フケが発生している場合は適度な洗浄力と脱脂力(皮脂を落とす力)を持ち合わせたアミノ酸シャンプーをオススメします。
アミノ酸シャンプーは2,000円前後と少し高価ですが、必要な皮脂は守り余分な汚れだけを洗い落とすことができます。そのうえ低刺激なので頭皮や髪を傷つけずに洗うことができます。
そして、頭皮を守るためにも洗髪をする回数を一日一回に抑えて、夜に洗髪をしましょう。
実は皮脂の分泌には時間がかかり、朝に洗髪をすると頭皮を守るものがなにもないので、紫外線やホコリなどの刺激を受けやすくなり頭皮にダメージを与えてしまいます。
夜に洗髪をすることで、睡眠中にじっくりと皮脂を分泌することができるのです。
また、髪を濡らす際はぬるま湯を使うようにしましょう。
生活習慣の乱れ
栄養不足や運動不足などの生活習慣の乱れとストレスが原因となり頭皮の健康を損ねてしまいます。
偏食や無理な食事制限によって体内の栄養が不足すると、頭皮に届けられる栄養が減り頭皮の免疫力が低下してしまいます。
また、ストレスを感じると自律神経(自分の意思でコントロールができない神経)が乱れて血管が収縮してしまい、血液の流れが悪くなります。体内の栄養や酸素は血管を通って運ばれるため、血行不良がおこると必要な量の栄養を届けることができなくなってしまいます。
運動不足も血行不良を招く原因の一つです。
このように頭皮の栄養が不足すると、頭皮の健康が損なわれてしまい乾燥に繋がるのです。
対処方法
栄養不足にならないためにも、栄養バランスを考えた食事を摂るようにしましょう。
- ビタミンA⇒レバー、魚類、緑黄色野菜に含まれており、肌のターンオーバーを促進する
- ビタミンC⇒柑橘類、果物類、緑黄色野菜に含まれており、皮脂の分泌量を整える効果がある
- ビタミンB群・ビタミンF⇒レバー、納豆、卵、魚類に含まれており、血行促進の効果がある
血行不良をおこさないためには、ストレスを溜め込まないように解消したり運動したりしましょう。
血液は体内に酸素を取り込むことで循環されるので、酸素をたくさん取り込むことができるウォーキングやランニング、水泳などの有酸素運動がオススメです。
運動をする時間がないという人は、一駅分歩いたりエレベーターなどを使わずに階段を利用したりして日常生活の中で体を動かすようにしましょう。
紫外線
紫外線を浴びすぎると頭皮のバリア機能が弱くなるり乾燥に繋がります。
皮膚にはバリア機能(皮膚の表面を覆っている油分)があり、肌の水分を保ったり紫外線やホコリなどの外部刺激から皮膚を守ったりする役割をしています。
しかし、紫外線には皮脂を酸化させたり皮膚に入り込んで参謀を壊したりする性質があるので、浴びすぎてしまうと皮膚に紫外線が入り込んでバリア機能を弱くします。
バリア機能が低下すると肌の水分が逃げてしまうため乾燥してしまうのです。
また、外部刺激にも弱くなるため、この状態で紫外線を浴びるとかゆみを感じる場合があります。
対処方法
帽子や日傘、スプレータイプの日焼け止めなどを使って頭皮を紫外線から守りましょう。
紫外線対策をするのは夏の間や日差しが強い日だけという人が多いかと思いますが、実は紫外線は季節や気候など関係なく一年中降り注いでいるので、一年中紫外線対策をする必要があります。
紫外線を浴びすぎてしまった場合は、しっかりと冷やして皮膚の火照りを抑え、育毛剤や頭皮用のローションなどを使って保湿をしましょう。
加齢
加齢によって体の機能が衰えると女性ホルモンと共に皮脂の分泌量も減少してしまいます。
上記でも説明したように肌の潤いを保つために皮脂が必要不可欠なので、減少すると乾燥してしまいます。
対処方法
加齢は止められないので、頭皮環境がこれ以上悪化しないようにここまでご紹介した対処方法を行いましょう。
脂っぽくてベタベタしている脂性フケ
脂っぽくてベタベタしているフケのことを脂性フケと言い、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで発生します。
脂性フケは大きくて存在感があり、触ると脂っぽくてベタベタしています。そのため頭皮や髪に引っ付いているのが特徴です。
この章では、脂性フケの原因となる皮脂の過剰分泌がおこる原因とその対処方法についてご説明します。
頭皮に皮脂や汚れ、シャンプーが残っている
頭皮に余分な皮脂や汚れが残っていると、頭皮環境が荒れてしまう恐れがあります。
皮脂が必要以上にあると、雑菌が増殖して頭皮に炎症がひきおこされて脂性フケが発生します。
頭皮に皮脂や汚れが残る原因は以下のようなことが考えられます。
- 数日間頭を洗っていない
- 体質によって元々皮脂の分泌量が多い
- シャンプーの洗浄力が極端に弱い
- 頭全体をしっかりと洗えていない・すすげていない
対策方法
頭皮に余分な皮脂や汚れを残さないためにも、最低でも二日に一度の頻度で頭を洗い綺麗にしましょう。
脂性フケにもアミノ酸シャンプーがオススメです。しかし、皮脂の分泌量が多い場合はアミノ酸シャンプーの洗浄力では弱すぎて落とせない可能性があるため、そのような場合は洗浄力が強い高級アルコール系シャンプーを使いましょう。
そして、皮脂量が落ち着いてきたら乾燥を防ぐためにもアミノ酸シャンプーに替えましょう。
シャンプーを使って頭皮を綺麗にしても、すすぎが甘く頭皮や髪の間に洗剤が残っている場合があります。これも頭皮が荒れる原因となるので、すすぎ残しが無いように時間をかけて頭の隅々まですすいでください。
皮脂がなかなか落ちないという場合は、オイルで皮脂を浮かす頭皮クレンジングを試してみてください。しかし、毎日行うと皮脂を取りすぎてしまい乾燥へと繋がってしまうので、週1~2回を目安に行いましょう。
頭皮クレンジングのやり方は「頭皮の毛穴には汚れが溜まりやすい!清潔に保つための4つの方法」で詳しく説明していますのでご覧ください。
雑菌の増加
私たち人間の皮膚にはマラセチア菌という常在菌が存在します。
マラセチア菌は皮脂を餌にして増殖しています。これにより頭皮にかゆみや炎症がおきてしまうのです。
対処方法
雑菌は湿気が多い環境だと更に繁殖しやすくなるので、以下のような衛生面を気を付けましょう。
- 髪を濡れたまま放置せず、しっかりと乾かす
- 頭皮が蒸れる状態を作らない(帽子など)
- 汗をかいたら必ずふき取るまたは洗髪をする
糖や脂質が多い食品をたくさん摂取している
皮脂の主成分は中性脂肪なので、体内の中性脂肪が増えると皮脂の分泌量が増えてしまいます。
中性脂肪は脂質(肉類やバターなどの油系)や糖質(お菓子や果物、アルコールなど)などが多く含まれている食品を過剰に摂取することで作り出されます。
対処方法
中性脂肪は体のエネルギー源なので生きていく上でなくてはならない栄養素です。そのため、脂質や糖質を一切食べないというのも問題になってしまいます。
中性脂肪を増やし過ぎないためには、脂質や糖質も適度に撮りながら野菜や魚、発酵食品などもバランス良く摂取しましょう。
治らない場合は皮膚科へ行こう
自分の頭皮に発症したフケの対処方法を一ヶ月継続しても一向に良くならないという場合は皮膚科へ行き医師に相談しましょう。
フケだと思っていた症状が実は脂漏性皮膚炎や尋常性乾癬などの皮膚の病気だったという可能性もあるので、違和感を感じたら早めに病院へ行くようにしてください。
乾性フケの治療
乾性フケは頭皮の乾燥が原因なので、ほとんどの人はセルフケアで解決できます。
そのため病院へ行ってもアドバイスや市販の薬をオススメされるだけで終わる場合もありますが、薬を処方される場合はワセリンやヒルドイドと呼ばれる保湿効果のある塗り薬やかゆみを伴う場合はかゆみ止めを処方してくれます。
脂性フケの治療
脂性フケは原因である皮脂の過剰分泌を防ぐためにビタミンB2・B6の内服薬や荒れた頭皮を改善するための消炎外用薬が処方されます。
また、マラセチア菌の増殖を抑える「抗真菌剤」や乾性フケと同様にかゆみ止めを処方されることもあります。
まとめ
頭皮のフケについて理解は深まりましたでしょうか?
フケは不潔なものと認識している方は多いと思いますが、ターンオーバーによるものなので誰にでも発生するものです。
しかし、フケの量が多かったり存在感がある大きさだったりする場合は、ターンオーバーが乱れている証拠です。
この時に発生するフケは乾性フケと脂性フケの2種類に分けらており、それぞれ特徴や原因、対処方法が異なるため、自分の頭皮に発生したフケの原因を知りそれにあった対処方法を行いましょう。
肌のターンオーバーの周期は約一ヶ月なので、対処方法を一ヶ月継続しても治らないという場合は他の病気という恐れもあるので迷わず皮膚科へ行きましょう。